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● 株式投資の常識を検証する
村井英一(当NPO理事、事務局長) |
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“100年に一度の金融危機”といわれる状況になり、特に昨年2008年の株式市場は常識では考えられないような下落となりました。もう何が起きても驚かないという気もしますが、それでも意外と私たちは一般的に言われている“常識”というものを、何の疑いもなく受け入れてしまっています。そして、検証されることもなく、あたかも普遍の真理のように語られています。このシリーズで、そのような“常識”が本当に正しいものなのかを考えてみたいと思います。
◆1 「長期投資なら株式投資は資産形成になる」という常識
まずは、長期投資についてです。株式は相場の状況で短期に急上昇することもあれば、急落することもあります。しかし長期的に見ると、株式は上下を繰り返しながらも上昇してゆきます。株式は、短期投資はリスクが大きいのですが、長期投資ならばリスクが逓減され、資産形成に役立ちます。…とは、私たちFPがよく言うことです。特に、最近のように株式相場が急落した際には、長期投資の効果が盛んに強調されます。では、実際に長期投資ならリスクが少なく、資産形成になるのでしょうか。
昨年10月の急落で、日経平均株価がほぼ26年ぶりの安値をつけたと話題になりました。つまり、この25年間の間に日本の株式を買った人の多くは株価が下がってしまっているということです。

例えば、日立やシャープなどはこの25年間の中で最安値をつけています。待てど暮らせど買値まで戻らないという投資家は多いことでしょう。シャープのように液晶テレビで評価の高い銘柄ですらこの状況です。
長期投資は配当も加わり、資産形成になるという見方もあります。確かに配当を含めて考えると、東京証券取引所の株式全体では昨年の下落でも、2003年に低迷した水準から比較するとプラスになっているものと思われます。しかし、残念ながら「長期投資なら資産形成になる」といえるほどの成果にはなっていません。配当を含めても、1989年に購入した人にとっては、3割ぐらいのマイナスであると考えられます。日本の株式市場は全体的に見ると、1990年以来18年もの長期間の低迷が続いているといえます。
これは決して日本だけの特殊事情ではありません。アメリカでもかつて、1960年代半ばから16〜17年もの間、株式市場の低迷が続きました。また、昨年の急落で大手自動車メーカーのゼネラル・モーターズが62年ぶりの安値になったと話題になりました。
資本主義である以上、技術革新が繰り返され、経済は発展してゆきます。長期的には株式は上昇する性質を持っているといえます。しかし、このことは数十年という単位で成り立つ法則です。10〜20年という期間では、低迷が続くことも珍しくはないのです。
長期投資をすると、長い期間の間に大きく変動しますから、それだけリスクも大きくなります。当たれば10倍以上にも上昇することもありますが、数分の1となってしまうことも珍しくありません。逆にデイトレーダーのような短期投資だと、少しでも株価が動いたら売却して損益を確定します。そのため、利益は小さいものの、損失も限定されます。
さらに、長期投資には信用リスクという恐ろしいリスクを抱えています。短期投資であれば、昨日まで問題のない企業が今日突然に倒産するということは考えにくいので、あまり心配する必要はありません。(あえて倒産しそうな企業を選んでいる場合は別)。しかし、長期であれば、わかりません。長期投資は価格変動リスクとともに信用リスクという、短期投資にはないリスクをも抱えているのです。しかも長期投資は挽回が難しいという面もあります。短期投資なら、今日がだめでも明日取り返すこともできます。しかし、10年待ったけどダメだった…となったら、すぐに他で取り返すのは難しいでしょう。
実は短期投資よりも長期投資のほうがハイリスク・ハイリターンなのです。ではなぜ、デイトレーダーのようなやり方がハイリスクとなるのでしょうか。短期投資をしている投資家は、小さな利ざやで利益を確定します。そのため、信用取引などを利用して大きなレバレッジ(てこ)をかけるからです。つまりお金を借りて投資しているためにハイリスク・ハイリターンになるのです。対して、長期投資ではお金を借りて投資する人はいないでしょう。ですから、投資額以上に大きな損失はありません。しかし、数分の1やゼロになってしまうリスクは決して小さくありません。長期投資は投資額を大きく増やすこともあれば、減らしてしまうこともあるのです。
「短期の株式投資はハイリスクだが、長期の株式投資はローリスクで資産形成になる」とFPの間でよく言われます。しかし、実は長期投資でも結構リスクは高く、必ずしも資産形成につながるとは限らないということを認識しておく必要があるのではないでしょうか。
◆2 「分散投資ならリスクが小さくなる」という常識
昨年の投資環境は、あらゆる資産に逆風が吹き、踏んだりけったり…という状況でした。
欧米の株式はもちろん、それ以上に日本株は下落しました。当初はデカップリングなどと楽観されていた新興国株も大きく下がりました。さらに為替は円高に進み、外債などの外貨建て資産も値下がりしました。不動産はアメリカだけでなく世界中で値下がりし、REITも影響を受けました。原油などの商品も結局は株式の後を追うように下落に転じています。国内外の株式や債券で運用するバランス型の投資信託は「リスクを分散させる」というのがうたい文句でしたが、分散させている資産がほとんど下がってしまい、狙っていた効果が発揮できていないのが現状です。
「多くの卵を一つのかごに盛るな」のことわざが示すように、資産を分けておくことはリスクの逓減につながります。この点に異論はありません。しかし、その効果は徐々に低下してきているのが現状です。世界の金融市場・経済環境が一体となり、結びつきが強くなっているためと考えられます。
下の「日経平均株価とNYダウ」のグラフをご覧ください。1997年前は日本株と米国株は違った動きをしていましたが、1998年からは、程度の差こそあれ、似たような動きとなっています。実はヨーロッパも新興国もおおむね似たような動きとなっています。いずれも1999年にかけてITバブルを形成し、その後2003年まで下落します。そして、2007年まで上昇し、急落に転じています。

2007年に先進国の株式が下落に転じた時点で、新興国株式や商品相場はまだ活況でした。そのため、先進国株式を売った資金が新興国や商品に流れたとの説明がされていました。
いかにももっともらしい話なのですが、換金されたお金は必ずどこかに行く、というわけではありません。取引が低迷すると、資金の回転が鈍くなってしまいますので、市場に流入する資金が減ってしまいます。あらゆる市場が低迷しても不思議ではありません。
では、株式と為替の関係はどうでしょう。
それが下のグラフ「日経平均株価と円ドルレート」です。

2003年までは株式相場と為替は逆に動いていました。日本株高=円高ドル安、日本株安=円安ドル高となっていました。それが2004年から、日本株高=円安ドル高、日本株安=円高ドル安の傾向になっています。国内株と外貨資産という、全く異なる資産に分散していても、リスクヘッジ(危険回避)となりませんでした。
ただ、為替については今後もドルと日本株の動きが近いとは限らないでしょう。下のグラフでもわかるとおり、1996年半ばまでは現在と同じように株高=ドル高、株安=ドル安の傾向でした。1996〜2004年の間だけは逆に動いていたのです。今後も状況の変化によっては、逆の傾向となることも考えられます。そうなると、分散投資の効果は強くなります。
株式の中での銘柄分散はどうでしょうか。
企業の不祥事や自然災害などのトラブルによる株価下落の悪影響を抑えるには、少数の銘柄につぎ込むのではなく、銘柄を分散させておくことが必要です。同業他社は、連想売りなどでつられて下がることがありますので、業種を分けておくことも大切です。
しかし、銘柄分散をしてもあまりリスクヘッジになっていないのが現状です。近年の株式市場では、インデックス運用が盛んに行われています。インデックス運用は、市場全体の動きを反映するように、あらゆる業種をまとめて売買します。そのため、業種や個別の事情にかかわらず、どの銘柄も同じ方向に動いてしまいます。よく、「円高になると輸出型の製造業はデメリットだが、輸入が多い電力会社はメリットがある」との解説がありますが、株価にはそれほど反映されていません。
それでは、「リスクを小さくするためにはどのような運用がよいのか」と問われたら、私も「長期投資+分散投資です」としか答えようがありません。前回に長期投資の効果に疑問をはさみ、今回は分散投資の効果が薄くなっていると書いておきながら…、なのですが。
リスクを抑えるためには、たとえ効果が小さくなっているとしても、この方法しかないでしょう。分散は銘柄分散以上に、株式や債券といった資産分散が必要です。さらに、購入時期の分散も図ると効果的です。資産を、日本株、外国株、国内債券、海外債券に分散させて、さらに10年間の長期保有をすると、昨年のような事態でも“かろうじて”プラスとなっています。長期保有で、株式の配当や債券の利金も累積されてくるからです。ただ、分散投資をしただけでは、「リスクが小さくなる」効果は限定的だといえましょう。
◆3 「金利が下がると株価が上がる」という常識
「金利が下がると株式は上昇する。金利が上がると株式は下落する」―この法則は、株式投資の原則のように語られています。
金利が低下すると、低い預金金利に見切りをつけた資金が株式市場に入ってきて、株価は上昇する。逆に預金金利が高くなれば、あえてリスクのある株式で運用しなくても、それなりの運用収益が得られる。だから株は売られ、株価は下落する。というような理屈です。
では、実際にその通りになっているのかというと、下のグラフをご覧いただくとお分かりのように、金利と株価は逆には動く(金利が下がると株式が上がる)とは言えません。一時的に逆に動いていることもありますが、概ね同じ方向に動いています。金利が上昇したときは、株価も上昇し、金利が低下したときは、株価も下落しています。

※1998年11月までは、東証上場国債(10年)最長期利回り、それ以降は、長期国債(10年)新発債流通利回りとなっていますので、ご注意ください。(出典:日本銀行)
 (出典:日本銀行)
金利が低下すると、株式が買われやすいというわけではありませんが、どちらも景気の影響を受けて動いているからです。
景気が悪いときは、資金需給が緩和しており、金利は低下します。と同時に企業業績の見通しに不安があるため、株式は売られます。
景気がよくなれば、資金需給はタイトになり、金利は上昇します。企業業績の見通しもよくなりますので、株式は買われて上昇します。
金利も株価も景気の影響を受けて動いていることを考えれば、これが自然な姿だと思います。
では、なぜこのような理屈が言われるようになったのでしょうか。
実際に金利が下がって株式が上がった時期があったからです。それが1980年台後半です。この時期、円高不況で景気は悪くなり、金利は低下しました。資金は株式市場に流れ込み、株価が急上昇を始めたのです。株式市場は上昇を続け、やがてバブルへと突き進んでいきます。そして、金利が上昇を続けている間に、バブルは崩壊して株価は急落しました。
「金利が下がると株式は上昇する。金利が上がると株式は下落する」という経験は強烈な印象となり、今でも株式投資の原則として語り継がれているのです。
ただし、この原則が成り立つのはむしろ例外的で、そうならないことの方が多くなっています。長期金利だけでなく、短期金利や、日銀の政策変更の前後など短期的な影響も検証してみましたが、この原則は当てはまるケースはそれほど多くありません。
もう一つの理由は、金利の低下は日銀が景気対策に取り組んでいることを示し、その効果が期待されるからだというものです。
実際、日銀が政策金利の変更をしてから、その効果が出るまでにある程度の時間がかかります。しかし、そのずれを考慮に入れても、逆相関である(金利が下がると株式が上がる)とはっきり言えるほどの状況にはなりません。日銀の低金利政策で株価が上昇した…と言えるのかどうかは、微妙なところです。金利が低下しても、資金が株式に向かうとは限らないからです。
景気対策といえば、公共投資の効果はどうでしょうか。
最近は、政府の景気対策の効果が期待できるので、株式相場の上昇も近いという見方も言われています。
「失われた10年」といわれた期間、政府はたびたび大型経済対策を実施し、公共投資を行ってきました。それによって、一時的に株価が持ち直すことはありましたが、持続的な株価の上昇・景気拡大には至りませんでした。
小泉内閣になって、積極的な財政政策は取られなくなりましたが、皮肉なことに株価の回復と景気拡大が続きました。
輸出が景気の拡大を支え、企業業績が回復したからです。今回、急激な景気の悪化に対して、いろいろな経済対策が打ち出さていますが、株価の上昇のきっかけ、景気回復の起爆剤になるのか注目されるところです。
いずれにしろ、景気が悪く、企業業績の見通しが不安であれば、たとえ金利が低くても資金を株式に振り向けようという気にはならないでしょう。株価の回復には金利の低下よりも、企業業績が回復しそうだという見通しのほうが重要ではないでしょうか。
◆4 「株価が安い今は株式投資の絶好のチャンス」という常識
昨年は株式相場の下落が続く中、個人投資家は18年ぶりに買い越しとなりました。
特に相場が急落した10月は、東証第一部の買い越し額が9227億円と過去最高になり、証券口座の開設が相次ぐなど話題になりました。FPなど、特に長期投資を勧める専門家からは、「短期的には下落リスクがあるものの、長期的に見れば今の株価は非常に割安で、株式投資の絶好のチャンスです」とのコメントが聞かれました。でも、本当に割安な水準なのでしょうか。
前年(2007年)に18,000円台だった日経平均株価が、10,000円割れの水準となったのですから、株価が下がったことは確かです。
しかし、それだけをもって株式投資のチャンスであるとは言えません。株式本来の価値に比べて株価が割安となっていれば、チャンスであると言うことはできましょう。やがて株式の価値に見合うよう程度まで株価が上昇することが考えられます。
しかし、株式の価値がもっと下がっているのでしたら、株価が下がっていても、まだ割高だといえるでしょう。
何をもって株式の適正な価値とするかは難しいところですが、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)という株式指標が一つの目安になるでしょう。
PERは、株価を「1株純利益」で、PBRは「1株純資産」で割った数値です。利益や純資産(企業の総資産から負債を引いた残り)で、株価の割高・割安の程度を測っています。
10月の株式相場の急落した時点では、今期の予想純利益で割ったPERは東証第一部平均で10倍近くまで低下し、今までにないほど割安な水準でした。ただ、それは経済状況が変わらないということが前提でした。
その後は、ご承知のように金融市場だけでなく、経済全体に影響が広がり、各企業は次々と業績見通しを下方修正しました。予想純利益が小さくなれば、株価が同じでもPERは大きくなり、株価は割高であるということになります。企業が業績修正を発表するたびにPERは大きくなり、直近(2月24日)では65倍となっています。
この値は、国際的に見ても、近年の日本の状況で比べても、現在の株価が非常に割高であるということを示しています。
では、PBRはどうでしょうか。純利益は変動が大きいので、純資産で測ったほうが信頼できるという考え方もあります。直近の東証第一部のPBRの平均は0.8倍とかなり低い水準で、株価は割安であるといえそうです。
ただ、これには注意が必要です。PBRを算出するための純資産は前期、つまり2008年3月時点のものを使っています。2009年3月時点では、純利益ほどではないにしろ、純資産も減少することが考えられます。保有株式の下落や純利益の赤字が影響を与えそうです。2月24日の日経新聞では、大手電機メーカーの自己資本(純資産に近い概念)が大きく減少しそうだと伝えています。純資産が減少すれば、株価が変わらなくてもPBRは大きくなります。それまで割安だと思っていたのが、急に割高となるということにもなりかねません。
株価が下がると、配当利回りが高くなるので、株価が上昇しなくても配当を得るだけで割りのよい運用ができます。この点も株式の長期投資の魅力です。しかし、これも怪しくなってきました。企業業績の悪化で、配当を減らしたり、なくしたりする企業が増えるからです。減配や無配が発表された時には株価が下がってしまい、損失を抱えてしまったという方も少なくないでしょう。
もちろん、今まで述べてきたことの逆もあるわけで、今後に企業業績が回復してくると、純利益や純資産が大きくなり、同じ株価でも割安な状況に変わることも考えられます。
要は、株式は株価だけでは判断できず、さらに予想以上の経済環境の変化で割安にも割高にも変化するということです。
下のグラフをご覧ください。日経平均株価と鉱工業生産指数は概ね同じような動きをしていました。株価が先に大きく下がりましたが、その後に鉱工業生産指数がそれを上回る勢いで下落しています。

結果的にですが、株価は下げ過ぎどころか、まだ下がる余地があるという状況となっています。昨年10月の時点が、あるいは今の時点が「株式投資の絶好のチャンス」であるかどうかは、後から振り返ったときにはっきりとわかるようです。
◆5 「経済状況や企業業績をチェックすることが大切」という常識
「株式投資をするためには、経済状況や企業業績をよく調べ、今後の見通しを予想することが大切です。デイトレーダーのような短期売買は別ですが、長期投資の場合はこれから成長してゆく企業を選ぶ必要があります。」と、よく言われています。
本当でしょうか?
実は、私は株式投資、特に長期投資をする上で、経済状況や企業業績を調べ、予想することは効果がないばかりか、弊害すらあると考えています。
株価が業績を反映しないからではありません。経済や企業業績の見通しが当たらないからです。専門家の予想でも当たらないどころか、大きく外れてしまいます。素人考えは危ないので、専門家の予想を元に投資戦略を立てた…にもかかわらず、損をしてしまったということになりかねません。
下の表はIMF(国際通貨基金)が公表している世界経済見通しです。中立的な国際機関が出すものとして、多くの専門家も注目しています。数ヶ月ごとに、その年と翌年の実質経済成長率の見通しを発表しているのですが、発表の度に変わっています。
IMF発表の世界経済見通し (年率:%)
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日本 |
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アメリカ |
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2008年 |
2009年 |
2010年 |
2008年 |
2009年 |
2010年 |
| 2008年1月29日発表 |
1.5 |
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|
1.5 |
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| 2008年4月9日発表 |
1.4 |
1.5 |
|
0.5 |
0.6 |
| 2008年7月17日発表 |
1.5 |
1.5 |
|
1.3 |
0.8 |
| 2008年11月6日発表 |
0.5 |
-0.2 |
|
1.4 |
-0.7 |
| 2009年1月28日発表 |
-0.3 |
-2.6 |
0.6 |
1.1 |
-1.6 |
1.6 |
| 2009年3月19日発表 |
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-5.8 |
-0.2 |
|
-2.6 |
0.2 |
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ユーロ圏 |
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世界全体 |
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2008年 |
2009年 |
2010年 |
2008年 |
2009年 |
2010年 |
| 2008年1月29日発表 |
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4.1 |
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| 2008年4月9日発表 |
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3.7 |
3.8 |
| 2008年7月17日発表 |
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4.1 |
3.9 |
| 2008年11月6日発表 |
|
|
|
3.7 |
2.2 |
| 2009年1月28日発表 |
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-2.0 |
0.3 |
3.4 |
0.5 |
3.0 |
| 2009年3月19日発表 |
|
-3.2 |
0.1 |
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-1.0〜-0.5 |
1.5〜2.5 |
日本についていえば、昨年7月の時点では上方修正をしました。にもかかわらず、11月にはその年の予想値を1.0ポイントも下げています。昨年の秋まで「日本はアメリカよりも落ち込みが小さい」と言われていましたが、実はそうではありませんでした。
日本の株式がアメリカよりも大きく下がったのも、今から見ると納得します。2009年の予想は、7月からの半年で4.1ポイントも下方修正されました。確かにこの間の日本の鉱工業生産の落ち込みは予想以上に大きかったのですが、7月の予想を元に投資判断をしていたら、損失は免れないでしょう。
個別の銘柄でも同じです。下の表はトヨタ自動車が発表した2009年3月期の業績予想です。
トヨタ自動車の業績予想 (億円)
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売上高 |
営業利益 |
純利益 |
| 2008年5月8日発表 |
250,000 |
16,000 |
12,500 |
| 2008年8月7日発表 |
250,000 |
16,000 |
12,500 |
| 2008年11月6日発表 |
230,000 |
6,000 |
5,500 |
| 2008年12月22日発表 |
215,000 |
-1,500 |
500 |
| 2009年2月6日発表 |
210,000 |
-4,500 |
-3,500 |
もともと減収減益と慎重な予想を立てていたにもかかわらず、秋からの急激な落ち込みで、大きな下方修正となりました。もちろん、下方修正を聞いてから売却をしようとしても、翌日は朝から売り気配となってしまいます。
このことを事前に予想できていたアナリストやエコノミストそれほどいません。
業績のチェックを怠りなくしていたとしても、株価の下落を回避することはできなかったでしょう。
一方、業績がよいときは上昇修正が繰り返されます。それはそれで、やはり予想が当たっていないわけです。
ここ数年、業績の上方修正が続くことが多かったため、「始めの業績予想は低めに発表され、後から上方修正される」とも言われていました。実は、正確な予想ができないだけのことなのです。
1年間の予想でも難しいのですから、さらにその先の長期予想となるともっと難しくなります。
下は、ソニーの株価推移のグラフです。

ソニーは、ITバブルの時に急騰し、すぐに急落しました。
後から見ると、投機的な資金によるマネーゲームが行われていたように思えます。しかし、その頃にソニー株を購入した投資家は決して短期投資をしていたのではありません。その当時は、ソニーは非常に優良企業で、将来性があり、長期投資にふさわしい銘柄だと言われていたのです。多くの専門家が、長期投資の対象としてソニーを推奨していました。ソニーに限らず、多くのIT銘柄が長期の成長を期待して買われていたのです。
このようなことはしばしば起こります。
最近では昨年の穀物の急騰と急落がありました。世界の人口増加と将来の食料不足は疑う余地がありません。ところが、誰もが長期予測に基づいて投資したつもりなのに、1〜2年間の急騰・急落になってしまいます。
このように、長期投資を考えて経済状況を予想したつもりなのに、短期のマネーゲームに巻き込まれてしまうことは少なくありません。長期的な予想に基づくものでも、注目されている期間は短いからです。
将来的にどのような経済環境になり、どのような銘柄が長期的に上昇してゆくのかを予想するのは、本当に難しいものです。
優良銘柄を長期に保有したことによる効果を示すものとして、任天堂がしばしば取り上げられます。
しかし、任天堂のような銘柄を見つけるのは、専門家であっても至難の技です。専門家の推奨銘柄が軒並み平均以下だったということも珍しくありません。1年先のことでも当たらないのに、さらにその先のことを予想して投資戦略を立てるのは、リスクの大きい賭けなのかもしれません。
このシリーズでは、株式投資の世界で「常識」とか「セオリー」などと言われているようなことが、常に正しいとは限らないということを述べてきました。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」と言われそうですが、月並みながら「資産分散と長期保有の両方を行う」と答える以外にありません。その効果は低下しているものの、リスクを小さくする効果が最も高い運用方法でしょう。
株価反転の時期はいつか…などはあまり考えないほうがよいかもしれません。何が起きても不思議ではないのが昨今の株式市場です。
最後に、内容に異議のある方や快く感じられなかった方もおられるかと思います。説明が至らなかった点はお詫び申し上げます。一つの見方だとご理解いただければ幸いです。
(2009年8月)
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初出:FP情報サイト「Power FP」連載・2009年2月25日、2月26日、2月27日、3月2日、3月4日。原題:「株式投資の常識を考える」を改題・改稿。 |
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